最初の上司

未分類

最初の上司は、サラリーマン生活でいつまでも記憶に残るものです。

私の上司は、何を考えているか分からない人で、会社に来たり来なかったりと、自由気ままにふるまっていました。なんでこれでクビにならないのだろうと不思議でしたが、それは、彼が海外の投資家から非常に高額なコミッションを得ていたこと、そして、海外の投資家に合わせて夜中に働いていたためでした。

彼の下には、1年上の先輩も所属しており、新入社員を押し付けられる役割ですが、面倒見が良いのか、面倒見が悪いのか、良くわからない人でした。とにかく、何も説明せず、彼の横で、彼が行うことを見ているだけ。今考えると、見て覚えることを要求されていた徒弟制度のような関係だったと思います。

当時は、まだバブル全盛期で、接待も派手、タクシーチケットはいくら使っても誰からも文句は言われないという野放図な状況でした。我々新人でさえ、タクシーを使うのが当たり前。お客先に電車で行ったことなどありませんでした。接待場所は、都内で代表的なイタリアン、フレンチ、中華での昼食、そして、お客がその場所が飽きると、とんでもない場所(今では、絶対に問題になるような風俗関係の場所)にも連れていかれました。

そういう意味で、私も当時のバブルの恩恵を受けた先輩のご相伴を授かり、接待でおいしいものをたくさん食べさせて貰ったものです。

ある時、一緒にご飯を食べている時、ふと、私の頭に一つの疑問が湧きました。なぜ、この人は私にこんなに良くしてくれるのだろう。他人なのに弟のように扱ってくれるのだろう。考えても、考えても、一つの結論しか思い浮かびません。それは、『私を弟のように大切に思ってくれているからだ』ということです。その考えに至った時、私は、人の善意がありがたく、涙が溢れ出て、先輩の前で泣いてしまいました。

当然、世の中には、酷い上司もたくさんいます。自分がひどい上司になっている場合もあるでしょうが、このような経験をしたことで、世の中、捨てたものではないという気分でいれたわけで、感謝して泣けた経験は、その後の人生に役立ったと思っています。

たつや

コメント