新入社員で不眠症の君へ

恐怖・不安

私は昭和63年に大学を卒業し、証券会社に入社しました。

それも外資系の証券会社に入社したのです。本当は、メーカーに行きたかった。でも、メーカーの面接で悉く落とされた。しかも、1次試験で。聞いたこともないような会社で、『協調性がないとやっていけないよ』と2回言われた。

受かったのは外資系の金融機関。お金の感情苦手だし、お金にあんまり興味ないし、嫌だな。と思いつつ、入社しました。東京の桜新町という町に住んで、田園都市線という地下鉄に乗って、日比谷というビジネス街で働いた。

地下鉄に乗った最初の日をよく覚えています。東京に出てきて最初に乗った満員電車。当然、スマホもないからその中で新聞を折りたたんで読んでいる年上のサラリーマン。こんな生活30年も続けるのかと思った瞬間。頭の中に浮かんだのは、『懲役30年』という言葉。死にたいと思いました。こんな生活を我慢し続けるのは嫌だ。明日にでも辞表を提出しようと思った。

最初は研修で、4名の同期がいて、みんな元気だなと思った。

最初の2週間は研修でした。つまらない話を聞いて、全く興味ない証券会社の話。外務員試験に通らないと仕事できないと言われて、いやいや勉強しました。今考えると、やっぱり子供だったんだと思います。しょうがないですよね。大学にいる間は、親の仕送りで生きていたんだもの。子供です。でも、自分の足で立って歩いて行けと言われて、凄く孤独になった。信じられない孤独。暗闇の中に引きずり込まれるような絶望感。

そして、入社1か月も経たないうちに睡眠障害となりました。寝ようとすると、心臓がどきどきして眠れない。どうしよう、明日会社に行って100%の力を出せなかったら、クビになっちゃうかも、そしたらもう生きていけないかも。会社を辞めたいと思っていつつ、会社をクビになることを恐れているって、支離滅裂です。

毎日、10時半に布団に入り、目覚まし時計のアラームを5時半にセットする。5時半に起きて勉強するんだ。100%力を出さないとみんなに負けてしまう。そう思っていると目覚まし時計の針の音がやけに気になる。ちょっと眠ったとたんに心臓がバクバクと鳴り出して、眠れなくなった。そうすると、布団に入って眠るのが怖くなる。

眠ろうとする→眠れなくてまんじりとする→うとうとすると心臓がバクバクして起きる。こんなことを1か月繰り替えしました。『辛い、死にたい』と思い始めた。何で眠れないんだろう。本屋に行って睡眠障害の本を多く読みました。わかったのは、これは不安神経症という病気だということです。

不安神経症について | メディカルノート (medicalnote.jp)

昼間は、頭の後ろが緊張している状態が続き、意識がぼーっとかすんでいる。絶えず、何かに不安を感じてびくびくした精神状態。

でも、ある時、一冊の本に出合いました。3時間睡眠でも大丈夫っていう内容だっと思います。それまでは、6時間寝ないと人間はうまく働けないと思っていたけれど、3時間でも大丈夫なんだーという考えは一筋の光明でした。眠れないのは実はラッキー。その間、自分の好きなことや仕事をゆっくりすればよい。短い時間しか眠れないのは、短所でなく、実は長所だと書かれていた。

そこで、決心しました。できるだけ長く起きていようと。こう決心してから、私の睡眠が改善していきました。不思議なもので、起きていようとすればするほど、人間は眠ってしまうものなのです。そう思い始めて、3か月ほどで、夜中に起きることがだんだんとなくなりました。私は経験から、不安神経症は脳内ホルモンのアンバランスが発生していると思っています。脳内ホルモンのバランスが崩れると、それを戻すのには少し時間がかかります。でも、少しずつ回復するものです。その時間は人によって差はあると思いますが、私の場合は、完全に脳内ホルモンのバランスが回復するまでに3年ほどかかりました。その後は、問題なく眠れるようになりました。

新入社員で眠れなくなるのは当たり前。その時は、眠れなくてもいいや。その時間を使って勉強しよう、ラッキーという気持ちぐらいでちょうど良いのです。一番してはいけないことは、眠れないことを恐れる事。

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